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CHCB-10037 (CD)


二胡 Erhu/賈鵬芳
二胡 erhu / ジャー・パンファン Best

01. 天狼星(シリウス) Sirius
02. Silent Moon(サイレント・ムーン)
03. 花
04. Sweet Dreams(スウィート・ドリームス)
05. 睡蓮(すいれん) A Water Lily
06. Rainbow(レインボウ)
07. 清秋(ピュア) Pure
08. 望郷 [「はるかな旅」 二胡・バージョン]
09. 杏林湖畔(シンリン・フーパン) Xinglin Hupan
10. Shichahai In The Morning(シチャハイ・イン・ザ・モーニング)
11. Mirage Of The Fall(ミラージュ・オブ・ザ・フォール)
12. Memory Of Childhood(メモリー・オブ・チャイルドフッド)
13. Silent Moon(サイレント・ムーン)[Studio Live Version]
14. 旅愁(りょしゅう) Dreaming Of Home And Mother [Studio Live Version]


「二胡」、今では音楽に興味を持つほとんどの人に知られる楽器となった二胡も、賈鵬芳(ジャー・パンファン)のアルバム「河 RIVER」が発売されるまでは全くと言って良いほど無名の楽器でした。二胡と胡弓が同じ楽器であると思っている方も多いようですが、二胡は中国の民族楽器であり、胡弓は日本の楽器です。因みに胡弓には3本の弦が張ってあり、形も三味線に近いものです。

二胡には約1000年に歴史があります。元々中国北方が起源といわれており、2本のスティール製の弦のあいだに馬の尻尾の毛で出来た弓をはさみ擦って音を出します。弦を擦って音を出す楽器、擦弦楽器は世界各地で見られます。ヨーロッパでヴァイオリンがその代表であるように、二胡は東洋の擦弦楽器の代表であり、東洋のヴァイオリンとも呼ばれています。

1958年中国黒龍江省ジャムスに生まれた賈鵬芳は、文化大革命の開始と同じ1965年8歳の時、二胡を手にしました。北京から汽車で30時間、むしろロシア国境に近い北国の町「ジャムス」も例外なく文化大革命の嵐は吹き荒れました。彼が二胡を手にしたきっかけも「毛沢東思想宣伝隊」への入隊でした。16歳の時、兄達の援助を受け、プロの演奏家に師事する為に北京へ旅立ちました。当時の中国では戸籍を勝手に移すことは許されず、農村の人間が都会で生活する事は出来ませんでした。16歳から18歳まで賈鵬芳は食糧の配給も受けず、叔母の家のベランダに1メートルほどの囲いを作り、プロを目指して来る日もくる日も二胡の練習に励みました。やがて師事した先生の代理も勤めるほどの実力をつけました。しかし海軍歌舞団の入団試験当日、唐山大地震に見舞われ、試験も中止となり、入団を断念せざるを得なくなりました。その約半年後、文革政策の一環として、農業に従事せざるを得なくなり、故郷「ジャムス」に帰りました。

文革の嵐がやみ、社会が落ち着いた頃、一通の手紙が彼のもとに届きました。その手紙は以前師事していた先生からのもので、音楽大学への入学を勧めるものでした。再び上京、500倍の難関を突破し合格したのですが、そのときの試験官で、「中国中央民族楽団」のコンサート・マスターでもある先生から強く入団の誘いを受け、北京の戸籍取得と生活の保障を考慮し、いきなりプロとしての活動を始めました。

文革により否定された伝統芸能の掘り起こしと啓蒙の為の演奏活動を続け、楽団の副主席にまで上り詰めた彼は、新たな音楽の可能性を求め、スーツケース一つと二胡だけを手に1988年来日しました。

様々なアルバイトをしながら演奏の仕事を求めていた彼の転機は、音楽家の服部克久氏との回り逢いにあります。賈鵬芳の才能と二胡の音色に惚れ込んだ服部克久氏は、自らのアルバム制作やコンサート活動に賈鵬芳を起用し、賈鵬芳の音楽の世界を広げました。又この頃、東京芸術大学大学院への入学も果たしています。

1997年ニューヨーク、カーネギーホールでのオーケストラとの共演により、彼の二胡奏者としての地位は不動のものとなりました。又、1998年6月、PACIFIC MOONレーベルからのデビューアルバム「河 RIVER」は西洋音楽と中国民族楽器との融合という試みと、そのクオリティーの高さにより、国内外で高い評価を得、セールス的にも成功を収めました。1999年そのコンセプトを一層推し進めたアルバム「虹 RAINBOW」をリリースし国内外共に、前作以上の成功を収めています。PACIFIC MOONからの3枚目のアルバム「遥 FARAWAY...」は2001年1月に発売されました。今お聴きいただいているベスト・アルバムは、以上3枚のアルバムと、彼が参加した作品及び、全米ネットのFM番組「エコーズ」でオン・エアされたピアニスト恩田直幸との共演スタジオ・ライブからの選曲となります。 現在彼は、100人以上の生徒に二胡という楽器の魅力を教えつつ、ジャズ、クラシック映画音楽など様々なジャンルの音楽に取り組みステージやレコーディングを行い、自らの求める音楽の可能性を追求しています。