恩田直幸は、高校時代からキーボーディストとしての才能を発揮し、大学在学中には既にプロとして音楽活動を始めました。現在も、ピアニスト、コンポーザー、アレンジャーとしてPOPアーティストにいくつもの作品を提供しています。
PACIFIC MOON RECORDSでは、「京 ANCIENT CITY」に四曲提供してくれています。ソロとしてはこの作品が、1stアルバムとなります。今回は、ゲスト・プレーヤーに中国ナンバーワンの二胡奏者JIA PENG-FANG、洋琴（中国の打弦楽器）に、CHANG WEI WEIといった中国伝統楽器の奏者を招き、日本からは、筝の小宮瑞代、尺八の三塚幸彦が参加しています。いずれ劣らぬ名プレーヤー達です。
ここに収録された全10曲を聴いていると、東洋的なものと西洋的なものが見事にが見事に融合し、自然と音世界に引き込まれて行きます。彼の描きだす世界は、日本でも中国でもなく、彼自身の心の中にあるユートピアなのではないでしょうか。そしてそれは、本当は誰もが持っている心の故郷なのではないでしょうか。ゆったりっとしたピアノと共に流れる東洋楽器の音色を聞いているとそんなことを考えてしまいます。いずれにしても、作曲からアレンジ、ピアノやシンセサイザーのプレイまですべてを行った恩田直幸の、センスの良さと才能の豊かさには目を見張るものがあります。この作品は正に「東洋的AORアルバム」の傑作と言っても良いのではないでしょうか。今後が楽しみなアーティストが又ひとり登場したと言えるでしょう。
