禅はサンスクリットのdhyana、パーリ語のjhanaの音写「禅那」の略です。思うこと、瞑想することという意味にあたります。古代のインドで、森林や大樹の下に座して精神を集中し瞑想する修行が行われていました。これが禅の起源と言われています。
そして仏教の開祖であるインドの釈迦牟尼尊が苦行ののち菩提樹の下で瞑想し悟りを得て、仏教と共にこの経験が受け継がれて瞑想する修行法として発展し、中国を経て日本に伝わりました。
聲明は僧侶が真言や経文に節をつけて唱える仏教音楽で、やはりインドから仏教の東進にしたがって中国、日本へと伝わりました。その旋律やリズムは「浄瑠璃」「謡曲」など日本音楽に大きな影響を与えました。今も寺で唱えられ、厳かで深い聲明の響きは堂内に滑らかに広がります。
禅は人間があれこれ迷い煩悩を持つ存在であるからこそ悟ることができると教えます「浄土というはわが心のうちにあり。」と禅僧・一休は言いました。
自分のものでありながらコントロールしにくいのが心。
このアルバムから流れてくるゆるやかで清々しい風のような響きに呼吸を合わせていると、脳内の空間がしだいに明るく広がってきて穏やかな心地となるでしょう。宇宙さえ感じませんか?
色々なことに追われる生活のなかで、ひとときの温かな異空間を是非体験してください。
野崎牧子