アジアの音楽が、なぜヨガにあうのか。
今、世界中でヨガは嵐のようにブームを巻き起こしている。あらゆる人がありとあらゆる形で「ヨガ」というものをやっている。目的はフィットネスやダイエットから精神修業までと様々だ。
もとはと言えば、ヨガは身体的なトレーニングを目的に発達したものではない。インド古来の伝統に基づくヨガというものは、究極的には「ひとつになる」という経験を目的としている。それは、すべての命は繋がっていて、人間は一人で生きていない、大自然と宇宙と繋がって呼吸をしている、そんな事実を生きるということ。だから、心と体が別々に動いてしまう今こそ、人々は自然本来の姿に戻るという幸せを求めているのではないか。
音楽とは、なにもない空間を色付けるような、そんなパワーをもつと思う。「経験」という目に見えない真実に形があるとしたら、それはきっと音なのだと思う。音も経験もフィーリングであり、バイブレーションである。
ここでセレクトした曲はアジアをテーマにしたリラグゼーションミュージッック。今回はストーリーや“会話”のある音よりは、何気ない曲調でなんとなく懐かしい音を選んでみました。私にとっての「ヨガ」というものを思った時に、忙しい毎日の中で忘れかけた自然に包まれるような、そんな気持ちにさせてくれる音に一番惹かれました。
海を眺めた時に、遠くの水平線では空と海がひとつになっている。風に泳ぐ白い雲を眺めた時に、時間はなくなっている。子供を抱く母の目に、不完全なものは映らない。ありのままの姿にあふれる愛に気づいたら、なにも恐いものはない。そんな嘘みたいな真実をずっと思い出していたい。
アジアのソフトな音楽はそんなやさしさを思わせてくれる温かい響きをもつ。どこかでなんとなく懐かしい、そんな音に浸り、静かに素直に今の自分を赦し、気を休めてください。
吉川 めい
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