南の島のアジアン・リゾート・サウンド
パシフィックムーン・レーベルの「BALI」「BALI dua」「OKINAWA」「ISLAND」から南風と潮の香りのする音楽だけを厳選した、夏のアジアン・リゾート・サウンド。青く澄んだ海と色鮮やかな花々が咲き誇る沖縄、そして神々の棲む芸術の島バリの夏。南の島のオアシスで過ごすような、ゆったりと流れる優しく豊かな時を1枚のアルバムにしている。
このアルバムを彩っている音色の中で、その存在の大きさを感じさせているのが、沖縄の豊見城(とみしろ)に住む具志堅京子の情緒溢れるウチナーグチ(沖縄語)の唄と、バリ島の民族楽器ガムランの調べ。
青銅製鍵盤楽器であるガムランの瑞々しい音色と竹の持つやわらかな響きは、遠くに聴こえる静かな鈴の音、鳥のさえずり、虫の音などの自然音とともに幻想的な心象風景を描いている。たとえばそれは、雨が降った後、木々の葉の香りするテラスでくつろぐ時だったり、遠くに揺れるかがり火が見える静かな夜の海辺だったりする。ガムランを中心としたバリの音世界を奏でているJALAN JALANは、YASUFUMI YAMASHITA を中心に結成されたユニット。バリを旅した時に出会ったガムランの音色に衝撃を感じ、それから何度もバリを訪ねたという。この音に包まれた時、自分の五感が解放され大自然と一体になったような心地良さを感じるのは、やはり現地の空気を音がそのまま届けてくれるからだろう。時々聴こえてくるネイチャー・サウンドも、実際バリで収録されたものだ。
具志堅京子が唄っているのは、古くから沖縄に残されてきた民謡。彼女の唄う沖縄音階に三線の素朴な音色やシンセのアンビエント・サウンドが調和し、澄んだ空気をかもしだしている。
豊かな自然に育まれてきた民族楽器や唄、そしてシンセやピアノなどの西洋楽器が調和したこれらの音楽は、その音色を聴くだけで豊かな気持ちににさせてくれる。大自然に溢れた地に生活する人々は、自然の恵みに感謝し日々を過ごしている。そんな豊かな気持ちとゆったりと流れてゆく時の大切さ、本当のオアシスはどこにあるのかを、このアルバムは思い出させてくれるのかもしれない。
アジア映画ライター TAMI
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