古代からユーラシア大陸の東西を結んだ交通路シルクロード。実はシルクロードには3つのルートがあった。北の草原ルート、中央の砂漠ルート、そして地中海をたって、インド洋、東シナ海から中国に入る海のルートである。この路を三蔵法師、マルコポーロが辿り、騎馬遊牧民が疾走し、名もなき人々の手から手へ色々なものが取引きされ、東西の世界に伝わって来た。
中国から西へは絹、ローマ、ペルシャからはガラス、象牙、インドからは胡椒、宝石などが中国に入って来た。ラクダの背に積まれ、砂漠のオアシスからオアシスをキャラバンにリレーされる風景は「月の砂漠」をイメージするが、けしてロマンだけでは語れない辛い道のりであったろう。
シルクロードは東西文化の交流の路でもあった。
シルクロードはミュージックロードでもある。
特に楽器は古代ペルシャ、インドに起源をもちシルクロードをへて東西に広がったものが多い。
その昔中国人は西域からシルクロードを通って伝わって来たものに「胡」を当てた。胡椒、胡瓜そして最近日本でも人気の高い二胡もそうである。もちろん型、奏法は幾多の時を経て中国で改良されたものである。琵琶もペルシャ、インドで生まれ中国に入った。
西洋クラシック音楽の楽器はほとんどが古代ペルシャなどで生まれ、西アジア民族楽器を経て西洋に伝わったとされる。(フルート、オーボエ、ヴァイオリン、タンバリンet.)
楽器を奏でながら旅する吟遊詩人や放浪芸人、そしてシルクロード・オアシス都市に生まれた宮廷音楽を媒体にし、様々な歴史と文化の層を重ねてより拡散されていった。(遊牧民の役割は大きかった)驚くことに宮廷演奏に出演させるためのプロダクションもすでに成立していたという。ミュージシャンの交易もなされていたのである。
何千キロにも及ぶ道のりの背景にある何千年もの歴史、シルクロードが果たした役割は想像を絶する。このアルバムに収録されている曲は、長年東洋と西洋の融合、アジアの楽器と西洋の楽器のコラボレーションをモットーに作品を作り続けてきたパシフィックムーンレーベルからの選曲である。シルクロードをテーマにした楽曲作りに関してはお家芸と言ってもいい。
このアルバムを聞きながら、しばし悠久のロマンに浸ってみてはいかがなものだろうか。
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