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CHCB-10022 (CD)


蘭 Orchid/Shao Rong
蘭 ORCHID / シャオ・ロン

01. Wild Rose
02. Bamboo Dance
03. Precious Moon (From"Yue Er Gao")
04. True Love
05. A Day Goes By
06. The Land Of Woods And Waters
07. Unicorn
08. Marketplace
09. One More Tale
10. Wild Rose (Reprise)


中国琵琶(Pipa)は紀元前221年、秦の始皇帝が天下を統一したころからあったと云われていますから、その歴史は約2000年以上にも及びます。どの楽器もそうですが、琵琶も歴史と共に改良され今の姿になっています。弦は4本で高音の方からA,E,D,Aに調律されています。この調律も近代に入ってからのもの、とのことです。弦の材質は元々絹でしたが、今はスティールを使用しています。ボディーは紅木と云う木で出来ています。この素材は中国古箏にも使用されているところを見ると、音の響きがよく楽器に最適なのかも知れません。フレットはネックの部分は牛の角、胴体部分は竹で出来ています。日本にも琵琶はあり、どちらも形は果物のビワにそっくりなのですが、その弾き方に違いがあります。日本の琵琶は主に扇形の撥(バチ)を使いますが、中国琵琶は五本の指につけ爪を付け演奏します。これは日本の琵琶が主に歌などの伴奏楽器だった為、一音一音を強く発音させることに重きを置いていたのに対し、中国琵琶はメロディーなどの演奏に多用されていたことによるのかもしれません。

さてこのアルバムで中国琵琶の美しい音色を聴かせてくれているのは、上海出身の女性琵琶奏者シャオ ロン(SHAO RONG)です。彼女は中国上海に生まれ、5歳からピアノを、10歳から琵琶を始めました。中学2年の時、北京にある国立北京中央音楽院に付属中学校が出来、親元から離れて独りで暮らしたい一心で編入試験を受けました。そのときの受験者は2万人、合格者はなんと12名だったそうです。その後大学まで進学出来たのはたったの五名ということですから、まさに天才と言っても良いのではないでしょうか。

大学卒業後、国立上海民族楽団にソリストとして入団。上海芸術祭で優秀芸術賞を受賞。その後新たな音楽環境を求め来日を果たし、東京芸術大学に留学しました。卒業後、日本フィルハーモニー交響楽団によるタン・ドゥン(TAN DUN)作曲のオペラ「マルコ・ポーロ」にソリストとして出演、パンパシフィック・ミュージック・フェスティバルに招かれやはりタン・ドゥン作曲の「琵琶と弦楽オーケストラのための協奏曲」を世界初演するなどで注目を集め、現在も東京を拠点としてアジア及び欧米各地でのコンサートや国際音楽祭での演奏など世界的に活躍しています。

彼女の、五本の指を駆使した中国琵琶独特のトレモロ操法(輪指)は、ある時はマンドリンのような、ある時はバンジョーのような不思議な響きを聴かせてくれます。そしてその響きと繊細かつドラマティックな演奏が、私達を魅了してくれます。

このアルバムに収録されている楽曲は「Precious Moon」をのぞき、すべてオリジナルです。箏(GUZHENG)、二胡(ERHU)、笛(DIZI)、尺八(SHAKUHACHI)等の伝統楽器とピアノ、ギター、ベース等の西洋楽器との組み合わせがこれまでになく新鮮で、琵琶の持つ豊かな表現力を一層引き出しています。キラキラと輝くような琵琶の音色と憂いを帯びたメロディーが、エスニックな夢を見させてくれます。