洋ナシを縦に二つ割りにしたかのような独特のボディライン。西アジアにおいて“楽器の女王”とも呼ばれるウードは、ササン朝ペルシャ時代の弦楽器、バルバドを起源とする。ヨーロッパに渡りリュートに、日本に渡り琵琶になったといわれ、『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』では王族や貴族に愛される楽器として頻繁に登場する。
つま弾かれる一音一音が濃厚なエキゾチズムを放つゆえんは、そこにある。
永島氏は、ポップス、プログレッシブロック、アジアンミュージックなど幅広いフィールドを縦横無尽に行き来するなか、ウードとの運命的な出会いをはたし、アラブミュージックへの新たな扉を開かれたという。今回のアルバム制作について「12音階ではなく、半音の半音も存在する独特なメロディー、そして二千年の時を経てきたウード、それぞれが持つ本来のパワーに導かれるようなところがありましたね。さまざまな音楽に携わってきましたが、これほどメロディーが持つパワーが強いと感じたことはありません」と語る。
シンプルでありながら骨太さを持つ旋律が、永島氏のインスピレーションを刺激し、さまざまな神秘的情景が生み出された。
上野まゆこ
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