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CHCB-10079 (CD)


Memories/賈鵬芳
Memories / ジャー・パンファン Best

01. 桜日和(さくらびより)IN FULL BLOOM
02. 郷(ふるさと)FURUSATO from 月光
03. 遠雷(えんらい)DISTANT THUNDER from 翔
04. DAWN(ドーン) from 虹
05. 陽春の径(ようしゅんのみち)A ROAD IN EARLY SPRING from 翔
06. 永遠に(とわに) FOREVER from 月光
07. 山水(さんすい)SAN SUI
08. 河南小曲(かなんしょうきょく)HE NAN XIAO QU from 遥
09. 暁(あかつき)DAYBREAK from 翔
10. YUEYA WUGENG(月芽五更) from 河
11. TANGO OF ASIA(タンゴ オブ エイジア) from 月光
12. HOMEWARD(ホームワード) from 虹
13. A STRANGER IN PARADISE(ア ストレンジャー イン パラダイス) from 休日
14. NUEVO CINEMA PARADISO(ニューシネマパラダイス) from 浪漫

このCDにはお香が付いています


北京から汽車で30時間、ロシア国境にほど近い北国の街ジャムスで、ジャー・パンファン氏は多感な思春期を過ごした。初めて二胡を手にしたのは文化革命の嵐が吹き荒れた渦中、まだ8歳のときだったという。その後16歳でプロの演奏家を目指し北京へと旅立つ。文革政策のあおりを受け一時はプロへの道を絶たれそうになりつつも、再上京後、難関を突破し国内屈指の民族楽団「中国中央民族楽団」に入団。ソリストおよびコンサートマスターとして10年間、第一線で活躍した。そんな彼が、演奏家として中国最高峰のポジションを捨ててまで、新たな音楽の可能性を求め来日したのは1988年のことだった。
「あれから二十年も経ったなんて本当に信じられません。スーツケースひとつと二胡だけを手に日本に降り立ったときには、こんなに長く日本に根をおろすことになろうとは思いも寄らないことでしたから」
日本は憧れの国だったと語るジャー・パンファン氏。来日当初はさまざまなアルバイトをしながら、チャンスを待った。作曲家服部克久氏との出会いが転機となり、音楽活動の場は一気に広がる。
97年にはニューヨーク・カーネギーホールでの公演を成功させ、その後はアルバム制作やコンサートはもちろんのこと映画音楽、CM音楽制作の現場を通して、さまざまな分野のミュージシャンとコラボレーションを行い、中国伝統楽器・二胡の可能性を探ってきた。
「昔はコンサート後の打ち上げで、かならずといっていいほど、『普段はどんなお仕事をされてるんですか?』と訊ねられました。二胡はそれほど、日本ではなじみのない楽器だったんです。それがいまや日本のみなさんに愛される楽器のひとつとして知られるようになった。私にとってはなによりの大きな歓びです」
 彼がこの20年、その二胡を通し伝え続けてきたメッセージとは“やさしさと強さ”だったという。
「やさしい音色では聴き手を癒し、強い音色では明日への活力になるような励ましを送りたい。私には極寒の地で二胡を弾き続けていた幼かった頃の思い出や、新天地日本で明日への不安と葛藤していた頃の思い出など、みずから希望を奮い立たせ二胡を弾き続けてきた心の足跡があります。これまでリリースした10枚のアルバムは、そんな私の心の軌跡を表現した、いとおしい作品たち。20周年を記念したこのベストアルバムが、あらためて過去の作品群を楽しんでいただくタイムトリップへのチケットになってくれれば、それほど嬉しいことはありません」
ファンへの感謝の想いがこもった氏のメッセージとともに、このアルバムには盟友・美野春樹作曲による二曲の書き下ろし新曲も収められている。
“やさしさと強さ”に充ちた音色は、20周年を期に、これからもますます深みを帯びていくことだろう。

上野まゆこ