「華」「華II」と、アジアを旅するアルバムを制作してきました。今作品は、いろいろな要素を加えて、試行錯誤しながらの作業でした。実は、今年はアジアの音楽家としてのフル・オーケストラのシンフォニーを頼まれ作曲したものが、ルーマニア国立放送管弦楽団の演奏によるルーマニア初演を皮切りに、中国国立交響楽団、ジョルジュ・エネスコフィル演奏等、世界各国での初演も行われた中でのアルバム制作でしたので、その反動もあるのでしょうか、今回は、よりパーカッシブになり、又、人間の声も入れながら、今まで以上に旅の色が濃くなったアルバムのような気がしています。
このアルバムでの「紅」とは、夕日の意味をとっています。アルバム・タイトルで迷っていたのですが、レコーディングしている時「何だか、夕日が見えてくるようだね」とのプロデューサーからの感想があり、又、私自身の永遠のテーマでもある「何故、人は生まれてきたのか」の意味を探るべく音楽を追求してきた日々でしたので、「風景」と「生きていく意味」、この二つをアジアの夕日に託すことにしました。様々なアジアの国や地域から見た夕日とはどんなものだろう、どんな大きさなのだろうと、改めて想像しながら、レコーディングも進行してゆきました。日が昇り、日が沈み、そして又、翌朝を迎える。どの時代にも、どんな場所でも変ることなく誰の上にも平等に照らし続けてきた太陽。その太陽は、沈んでも、必ず又、昇ってきてくれる。夕日には、せつなさと明日への希望があります。
私の音楽に、そのことを見抜いてくださったプロデューサーの吉岡さん初め、今回、このアルバムに参加してくださった全てのスタッフ、アーティストの皆さんに、こころからの感謝をこめて、、、、そして、このアルバムを手に取ってくださったリスナーの皆さんに、お礼を申し上げます。ありがとうございました。