視聴者の心をつき動かす、タイムマシンのような音楽とは何か？作曲家の吉田潔さんと一緒に随分と悩みました。なんといっても「番組の象徴」ともいえる「テーマ音楽」が番組の成否を左右します。ここにすべての心血を注ぎました。そこには視聴者の興味を強烈に惹き付けるインパクトや独創性、親しみやすく覚えやすい旋律が必要不可欠。そして何よりも番組のテーマを感覚的にメッセージとして伝えること、これが音楽の最大の使命です。

紆余曲折の末たどりついたのが、日本の伝統的なサウンドのコラージュです。どこか懐かしくて郷愁を誘う子守唄のような童謡風メロディーをベースにした、和太鼓やつづみ、三味線など日本古来の楽器をはじめ読経やお祭りの掛け声に至るまで、ありとあらゆる「日本の音」の集大成です。日本人なら誰もが知っている懐かしい「和の音」をミックスして新しい音楽を作ろう・・・！かくして、ひとえに吉田さんの粘り強い忍耐力と革新的な才能のおかげで、ひとつひとつの音は決して珍しくないけれども、新鮮で、斬新で、ダイナミックで、気持ちが良く、感動的で、カッコイイ音楽が誕生したのです。そしてなによりも、なかなか日常的に聴くことのなくなった「和の音」を再構成することで、改めて「日本の伝統」を見つめ直し、その素晴らしさを再認識して次世代に継承してゆく。これはまさしく一番大事なメッセージ「私たち日本人の原点をみつめなおす」という番組の趣旨に他なりません。是非みなさんタイムトリップしていただいて、自分のルーツに触れてみてください。