テクノロジ−の発達により、本来相まみえることのなかった音楽が融合し、全く新しい音楽として生まれ変わる、あるいは創造されるということが可能になった。
SORMAは結成以来、アジアの民族音楽とエレクトロニクス・サウンドの融合による新しい音楽の創造を目ざし、アジア各地での取材を行った。この作品を完成させる際にはインド,モンゴル,バリでのソ−ス・レコ−ディングを行っている。数度に及ぶレコ−ディング・ツア−により収録されたのは、インドの“童歌”“SADOOの呪文”モンゴルの“オルティンデドゥ”“馬頭琴”と呼ばれる弦楽器,バリ島の“ガムラン”“ケチャ”“ジェゴク”等。これらの楽器やVOICEをもとに、サンプラ−,アナログ・シンセサイザ−等を駆使し、ひとつひとつのフレ−ズ・ラインを、糸をつぐむように織り上げ、幻想的な織物を完成させた。
アジアの音楽には元来、神事や祭りなどの宗教的要素が含まれている。特に、バリ島のガムランやケチャなどは山の神と海の神の戦いなどがテ−マとされており、演奏者も踊り手も演奏中にトランス状態となる。
こうした民族音楽の持つエネルギ−やパワ−などを現代の手法で表現したのが「幻/ILLUSION」である。
そのキ−ワ−ドは“グル−ヴ”これは日本語で言えば“ノリ”。漢字で書くと“法”つまり規則性である。
アジアの民族音楽もこの規則性を意識して作られており、
その規則性を持った反復的なサウンドによってトランシ−な状態を生み出している。
このアルバムに収録されている楽曲全9曲に共通しているのは、テクノ的アプロ−チによる規則性と、
その規則性によって生み出されたトランシ−な世界である。
その響きはどれも雄大で神秘的であり、我々をインナ−・トリップさせるパワ−を持っている。