日本に来て25年、長かったような気も、あっという間だったような気もします。振り返って思い浮かぶのはその間に出逢った人々の顔です。
思えば、いままでの私の人生で2度の大きな冒険がありました。
故郷から北京への旅立ちは、将来も保証され希望に満ち溢れたものでした。国内屈指の楽団で国中から集まった精鋭達と肩を並べ演奏できるのは夢のようで誇りでした。しかし、長く楽団にいるうち、中国楽器だけのオーケストラで中国曲ばかり演奏することに限界を感じ、このままここに居続ければ中国音楽の枠の中でしか表現できない。外の世界に出て二胡にもっと新しい可能性を見つけてあげたい、漠然とそう思う様になりました。
そうして、楽器とスーツケースと少しのお金だけを持って中国を飛び出したのが25年前。言葉も話せない、何の保証もない日本で、それでも何かを見つけられると思えたのは、若さゆえだったのかもしれません。
しかし、そうして日本に来る事で叶った様々な人々との出逢いは、自分の思い描いた二胡の世界を形づくるかけがえのない礎となりました。これからも二胡と共に歌い続けることで、新たな出逢いへと導いてくれるのでしょう。
今回、プロデューサーをはじめ、作曲家やアレンジャー、プレイヤー、エンジニアに至るまでが、最高の音楽を目指して素晴らしい才能のぶつかり合いを見せてくれたことに胸を強く打たれました。
そして今、貴方がこのアルバムを手に取って聴いてくれていることに、心から感謝をこめて。
ジャー・パンファン