神々の棲む島BALI。芸術の島BALI。赤道直下インドネシア共和国の中心ジャワ島の東に位置し、東西140km、南北50kmの小さな島BALI。東経115゜30にそびえる霊峰アグン山を宇宙の中心と考え、山には善なるものが、海には魔なるものが住む島BALI。最高神「イダ・サヤン・ウィディ・ワサ」のもと、島はバリ・ヒンドゥ−の宇宙感と共にある。善と悪−聖と魔−静と動−陰と陽。こうした対極する二つの概念の調和によって、世界は成立し、浄化されるとバリの人々は考えている。ヒンドゥ−の神々への毎朝の祈り。
どこからともなく聞こえてくるガムランのしらべ。歩いていると必ず出会うお祭りの行列。緑豊かなライステラス、青い空と静かな海。信仰心の厚いバリの人々の穏やかな眼差し。海を赤く染める日没。真の闇の中で聞こえる波と、虫の音。目を閉じることなくメディテ−ション出来る島、バリ。
このアルバムはそんなバリのある一日の心象風景を音楽にしたものです。
登場する楽器は、バリの伝統的音楽ガムランの楽器が中心となっています。
ガムランとは、旋律打楽器を主体とした伝統的な合奏音楽です。
特にバリ島では、ヒンドゥ−教と結び発展し、あらゆる宗教儀礼の中で日常的に演奏されます。子供達は、小さいころからガムランや踊りを習い、いわゆる町内会単位で演奏活動を行います。従って、ガムランはバリの人々にとっての中心的音楽となっています。ガムランで使用される楽器は青銅製の金属鍵板楽器グンデル(gender)と、ドラ(ong)が中心となります。これらの楽器もそれぞれの役割や音の高さの違いなどによって数種類あります。これに、竹筒で出来たシロフォンのような楽器ティンクリック(tingklik)や、スリン(suling)と呼ばれる竹製の縦笛や太鼓グンダン(kendang)などが必要に応じて加わります。ガムランの音階は、沖縄の音階に似たペロッグと雅楽の律音階に似たスレンドロの2種類があります。どちらも五音音階で、つまり1オクタ−ブの中に音が五つということになります。
本アルバムにおいてもこの五音音階を主体としてメロディ−が組み立てられています。青銅製鍵板楽器の瑞々しい音色と竹の持つやわらかな響きがより一層エスニックなメロディ−を引き立たせています。